連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(48)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● 低リン血症,ミオパチー,転倒・転落,CYP2C19,網脈絡膜炎,不適正使用
Keyword:
● 低リン血症,ミオパチー,転倒・転落,CYP2C19,網脈絡膜炎,不適正使用
pp.1142-1147
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604162
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.高眼圧症のためアセタゾラミドを処方された患者において,1回服用後に全身の脱力感などを認め,低リン血症に伴う心肺停止を呈した症例が報告されている。 2.米国の医療情報データを用いたコホート研究において,ロラタジンとシンバスタチンの併用でミオパチーリスクが上昇することが示され,in vitro 試験において薬力学的相互作用である可能性が示唆されている。 3.スウェーデンの医療情報データを用いた症例クロスオーバー研究において,オピオイドにより転倒・転落での受傷による入院リスクが上昇し,コデインやトラマドールではCYP2D6阻害薬併用でリスクが低下する可能性が示唆されている。 4.健康成人を対象とした試験において,クロピドグレルの抗血小板作用がフルボキサミン併用により減弱し,CYP(チトクロムP450)2C19を介した相互作用の可能性が示唆されている。 5.統合失調症のためアリピプラゾールを長期服用していた患者において,視力障害を伴う網脈絡膜炎を呈した症例が報告されている。 6.フランスにおける有害事象自発報告の調査において,乳汁分泌抑制目的でブロモクリプチンを用いた際の重篤な有害事象として,心血管系障害が最も多く発現しており,その7割は不適正使用であったことが報告されている。