連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わりPART I .院内製剤(84)
がん治療時の口内炎予防薬としてのポラプレジンク含有トローチ剤の有用性
石田将之
1
,
加藤寛子
1
,
小林亮
1
,
鈴木昭夫
2
,
伊藤善規
3
1岐阜大学医学部附属病院薬剤部
2岐阜大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
3岐阜大学医学部附属病院薬剤部 薬剤部長
pp.1925-1930
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017081925
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頭頸部癌放射線化学療法や造血幹細胞移植前の大量化学療法において,口内炎は極めて高頻度に発現する有害事象である。発現した口内炎が重篤化した場合には,患者のQOL(quality of life)が低下するだけでなく,治療期間の延長や治療効果の低下等の予後の悪化も報告されている。これまでに我々は,ポラプレジンク(PZ)をアルギン酸ナトリウム(AG)に懸濁させた液(PZ-AG懸濁液)を用いてうがいすることで,頭頸部癌放射線化学療法や造血幹細胞移植前の大量化学療法において顕著な口内炎予防効果を示すことを報告した。一方でこの懸濁液には,服用感の悪さや携帯性の面での問題点があった。そこでより簡便に使用可能な新規剤形として,トローチ剤の開発を行った。さらにこの開発したトローチ剤の口内炎予防効果について,造血幹細胞移植前の大量化学療法患者を対象として検討した。