特集 最新のがん免疫療法
7.腫瘍特異的T細胞受容体(TCR)遺伝子導入T細胞療法
池田裕明
1
1三重大学大学院医学系研究科遺伝子・免疫細胞治療学・教授
pp.1085-1090
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604105
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
長年にわたり,その潜在能力に大きな期待がかけられてきたがん免疫療法であるが,近年,免疫チェックポイント阻害療法や受容体遺伝子導入T細胞の輸注療法がついに臨床の現場において顕著な効果を示しはじめた。これらの治療法は腫瘍を一定に制御するのみならず,がん患者を治癒させ得る可能性さえ期待されている。一方,その顕著な臨床効果は副作用の出現可能性と表裏一体であることも明らかになり,今後はより有効でかつ安全性の高い治療戦略の構築が必須になる。本稿では腫瘍特異的T細胞受容体(TCR)遺伝子を導入したT細胞の輸注療法について,世界とわが国の動向を解説する。