特集 最新のがん免疫療法
9.ネオアンチゲンを標的としたがん免疫治療
松下博和
1
,
唐崎隆弘
2
,
垣見和宏
3
1東京大学医学部附属病院免疫細胞治療学講座 特任講師
2東京大学医学部附属病院免疫細胞治療学講座
3東京大学医学部附属病院免疫細胞治療学講座 特任教授
pp.1099-1104
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604119
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近年の免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験において,一部の患者で長期にわたり持続する強い抗腫瘍効果が得られたが,そのような患者には元々内因性の免疫応答が存在していたことが明らかになっている。また,免疫チェックポイント阻害剤により活性化された免疫応答の標的は,腫瘍特異的な遺伝子変異由来の新生抗原(ネオアンチゲン)である可能性が高くなってきた。ネオアンチゲンは,正常組織に発現しない非自己の抗原であるため免疫寛容を誘導せず,がん免疫治療における有望な標的抗原となり得る。今後,免疫チェックポイント阻害剤に加え,積極的にネオアンチゲンを標的にした治療を開発することで,さらに高い臨床効果が得られる可能性がある。