特集 最新のがん免疫療法
3.免疫チェックポイント阻害剤および免疫制御抗体治療
上羽悟史
1
1東京大学大学院医学系研究科分子予防医学教室・講師
pp.1057-1062
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604077
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新規自己とも言うべき腫瘍細胞に対して,適切にCD8+ T細胞の排除応答を誘導するには,末梢における自己免疫寛容を担う安全装置“免疫チェックポイント”への介入が不可欠である。免疫チェックポイント阻害剤の先駆けとして開発された抗CTLA4(cytotoxic tlympocyte-associated protein 4)抗体や抗PD-1/PD-L1(programmed cell death-1/programmed cell death ligand-1)抗体の治験成績は,がん治療に大きな変革をもたらした。さらに,作用点の異なる複数の免疫チェックポイントに介入することで,より強力な抗腫瘍作用が得られることも示されている。 本稿では,抗CTLA4抗体および抗PD-1/PD-L1抗体の作用機序および臨床成績を概説するとともに,CTLA4抑制経路に中心的な役割を果たすFoxp3+ CD4+ 制御性T細胞を標的とした抗体療法の可能性を紹介する。