特集 認知症 ~病態と治療~
3.アルツハイマー病バイオマーカー研究の進歩
坂内太郎
1
,
岩田淳
2
1東京大学医学部附属病院神経内科
2東京大学医学部附属病院神経内科 講師
pp.849-856
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603849
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アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)のバイオマーカーは,アミロイドβ(Aβ)沈着のマーカーである脳脊髄液Aβ42,アミロイドPET(positron emission tomography)と,神経障害のマーカーである脳脊髄液タウ・リン酸化タウ,MRI(magnetic resonance imaging),18F-FDG(fluorodeoxyglucose)-PET,脳血流SPECT(single photon emission computed tomography)の2種類に分けられ,前者は診断的マーカー,後者は進行度マーカーと捉えられる。ADによる認知症およびADによるMCI(mild cognitive impairment)の臨床診断の蓋然性を高めるため,さらには無症状あるいは軽微な症状のみを呈するpreclinical期のADを評価するため,バイオマーカーを取り入れた診断基準が近年提唱され,preclinical ADを対象とする病態修飾薬を用いた大規模臨床研究が進められている。