特集 認知症 ~病態と治療~
4.アルツハイマー病の病態修飾薬開発戦略と現況
富田泰輔
1
1東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室・教授
pp.857-860
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603857
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アルツハイマー病の分子病態研究と発症メカニズム解明が進み,患者脳に蓄積しているアミロイドβタンパク質とタウタンパク質が発症機構における鍵分子であると認識され,これらを標的とした病態修飾薬開発研究が進められている。一方,近年これらの分子の異常蓄積は発症の15年以上前から開始していることが明らかとなり,アルツハイマー病の神経変性過程は長期にわたるプロセスであると考えられるようになった。そこで個々人の発症リスクを見積もり,発症前に神経変性過程に介入する「先制医療」の重要性に対する認識が高まり,高リスク保因者に対する治験が開始されている。