特集 C型肝炎治療における新時代の幕開け
9.肝移植症例における抗C型肝炎ウイルス(HCV)治療の今後
調憲
1
,
池上徹
2
,
吉住朋晴
3
,
内山秀昭
3
,
木村光一
4
,
別城悠樹
4
,
今井大祐
4
,
吉田佳宏
4
,
坂田一仁
4
,
下川雅弘
4
,
前原喜彦
5
1九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科) 准教授
2九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科) 講師
3九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科) 准教授
4九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科)
5九州大学大学院消化器・総合外科(第二外科) 教授
1 〔現 群馬大学大学院医学研究科病態腫瘍制御学講座肝胆膵外科分野・教授〕
pp.117-121
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201601117
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わが国における成人間肝移植の最も多い原因疾患は,C型肝炎である。C型肝炎ウイルス(HCV)は肝移植後早期に再感染し,放置すれば肝線維化が進行し,肝硬変ひいてはグラフトロスに至る。従って,肝移植後の抗ウイルス療法は重要である。肝移植に必要な免疫抑制剤の投与も継続しながら,インターフェロン(IFN)を中心とした抗ウイルス治療は,免疫賦活を伴うため,Interferon mediated graft dysfunction(IGD)といった病態にも配慮が必要で,その奏効率は限定的であった。その後,IFNフリーの治療が導入され,肝移植後の抗HCV治療も進歩してきた。 本稿では,いわゆる直接作用型ウイルス薬(direct acting agent:DAA)の効果に関す文献的考察を含めて報告する。