特集 C型肝炎治療における新時代の幕開け
8.ウイルス排除後の発癌
田中篤
1
1帝京大学医学部内科学講座・教授
pp.109-114
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201601109
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C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)を排除することにより肝発癌は抑制されるが,排除後も肝発癌は起こり得る。インターフェロン(IFN)による抗ウイルス治療の場合,平均観察期間3.3~8.0年におけるSVR(sustained virological response)後の発癌率は0.9~4.2%と報告され,IFN治療前の因子としては,高齢,男性,線維化進展,飲酒,肝脂肪化などが,また治療後の因子としては治療後の高ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値,および高AFP(α-フェトプロテイン)値がSVR後の肝発癌と関連すると報告されている。一方,現在抗ウイルス治療の主流となっているIFNフリーの経口抗ウイルス治療薬では,SVR後の発癌抑制効果については未だエビデンスがない。IFN治療より高齢の患者が治療対象となることも踏まえ,SVR後の発癌には厳重な注意が必要である。