特集 C型肝炎治療における新時代の幕開け
1.序~ C型肝炎治療の歴史的経緯と今後~
四柳宏
1
1東京大学大学院生体防御感染症学(感染症内科)・准教授
pp.61-65
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201601061
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C型肝炎ウイルス(HCV)が発見されたのは1989年である。初期の治療は,インターフェロン療法・次いでペグインターフェロン+リバビリン併用療法が行われた。治療効果に最も大きく影響するのはIL28B遺伝子多型であった。サブゲノムレプリコン・培養細胞の樹立により次々と直接作用型抗ウイルス薬が作られた。HCV 3/4A プロテアーゼ阻害薬,次いでNS5A阻害薬,NS5B阻害薬などが次々と登場している。これらの薬によって難治例,薬剤耐性変異獲得例以外の治療が可能になってきた。ウイルス排除により肝線維化の軽い若年例での発癌の確率は低くなるが,肝線維化進展例,高齢者など発癌リスクの高い症例は問題である。また,免疫不全例の治療,肝外徴候の治療も残された課題である。また,今後は代謝臓器としての肝臓の機能の理解が重要になりつつある。