医薬ジャーナル論壇
今こそ立ち返るべき“医薬分業の原点” −薬剤師への逆風と順風は同じ方角から−
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.2067-2069
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201509023
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薬局・薬剤師に対して,今,強い変革の風が吹きつけている。しかも,その風は向かい風と追い風という,正反対の方向から押し寄せている。まず,向かい風を呼び込んだのは,大手ドラッグストア系の複数の調剤薬局が,不完全な薬剤服用歴をもとに診療報酬を請求していた事件である。薬剤師の社会的信用を大きく損なった一連の不祥事は,強い非難の的となった。一方,追い風を送り込んでいるのは,国の医療政策の中で,セルフメディケーションが一層重視されつつある流れである。厚生労働省は,地域の健康増進を担う中核施設として,新たに「健康づくり支援薬局」を全国で認定する計画を公表した。また,塩崎恭久・厚生労働相も,かかりつけ薬局の体制強化を目指し,年内に「患者のための薬局ビジョン」という方針書を策定すると発表している。逆風と順風とが同時に吹き荒れる中,改めて薬剤師に求められているのは,患者本位のかかりつけ薬局という,“医薬分業の原点”に立ち返る姿勢である。