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薬剤師会調査からみた医薬分業の実態
岡本 悦司
1
Etsuji OKAMOTO
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.986-987
発行日 1991年11月1日
Published Date 1991/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901053
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はじめに
医薬分業が遅れているわが国では,国民医療費に占める調剤の割合は現在でも約2%にすぎない.しかしながら,国際的にも高い水準にあるわが国の薬剤比率を考えると,外来投薬の全てを潜在マーケットとする調剤薬局の将来性はきわめて大きい.事実,医療費低成長時代のなかで,ひとり調剤のみ2ケタ成長を続けている.
薬局には,非営利,配当禁止,開設規制といった,病院,診療所,老健施設などをがんじがらめにしている制約が無い.実は,薬局にも薬事法による開設規制があったが,昭和50年の最高裁の違憲判決によって撤廃された.開設規制は憲法22条(職業選択の自由)とのからみが常に問題となる.公衆浴場の開設制限は合憲,薬局の開設制限は違憲,と司法の判断も微妙に分かれており,医療法による病院の開設規制が「知事の勧告」という法的効力の無い手段で行われているのも第二の違憲判決をおそれてのことだろう.
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