特集 最新の腎疾患診療とその展望
8.わが国における腎代替療法の 現状と課題
伊藤恭彦
2
,
鈴木康弘
1
,
水野正司
3
,
松尾清一
2
1名古屋大学大学院医学系研究科腎不全システム治療学寄附講座・腎臓内科
2名古屋大学大学院医学系研究科腎不全システム治療学寄附講座・腎臓内科 教授
3名古屋大学大学院医学系研究科腎不全システム治療学寄附講座・腎臓内科 准教授
pp.1349-1354
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201505113
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腎代替療法は,新たな時代を迎えている。血液透析(HD)療法では,短時間頻回透析,在宅透析といった新しい治療体系が導入され,腎移植では免疫抑制療法の進歩から血液型の異なる夫婦間移植が可能となり,その数は増加している。今日,導入透析患者の平均年齢は69歳になり,導入のピークの年齢層は75~ 80歳と,高齢者の占める割合が顕著になった。それに伴い通院困難なHD患者は増え,透析のために長期入院を余儀なくされる場合も少なくない。高齢透析患者のQOL(quality of life)の改善,医療経済への負担の軽減を考えると,在宅治療の腹膜透析はその一策と考える。穏やかな透析療法である腹膜透析は,高齢者には適する点が多い。このためには,地域における高齢者サポート体制の確立が重要と考える。