医薬ジャーナル論壇
新たな創薬フロンティア“miRNA”―治療薬からバイオマーカーまで,幅広く応用―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.855-857
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503855
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
miRNA(micro RNA;マイクロ リボ核酸)という小さな核酸分子が,創薬の世界に大きな変革をもたらそうとしている。miRNAとは,蛋白質の合成には直接関与しない,いわゆるノンコーディングRNA(non-cording RNA:ncRNA)の一種である。20世紀末に発見された当初は,その生物学的な存在意義は不明であった。しかし,遺伝情報の伝達を微調整するという重要な役割が明らかになり,一躍,脚光を浴びることになった。このmiRNAの作用動態を利用して,臨床にも役立てようという研究も盛んになり,既に治療薬の開発も進んでいる。miRNA創薬に関しては,欧米が大きく先行しているが,わが国でもmiRNA分野における産官学連携プロジェクトが発表されるなど,官民あげての研究体制が整いつつある。抗体医薬に次ぐ,新たな創薬フロンティアであるmiRNA領域に,世界の注目が集まっている。