連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (36)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座
2東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座 教授
キーワード:
● 虹彩萎縮,CYP,高カリウム血症,P-糖タンパク質, 薬物性肝障害
Keyword:
● 虹彩萎縮,CYP,高カリウム血症,P-糖タンパク質, 薬物性肝障害
pp.990-995
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503990
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.呼吸器感染症のためクラリスロマイシンを投与された患者において,頭痛を伴う虹彩萎縮を認め,11 カ月経過後も改善しなかった症例が報告されている。 2.既承認薬の薬物性肝障害,チトクロムP450(CYP)の基質/阻害/誘導薬,投与量,脂溶性に関する情報の解析から,高用量(≧ 100mg/日)およびCYPの基質薬であることが薬物性肝障害の予測因子になることが報告されている。 3.入院患者を対象とした後向き調査から,相互作用でカリウム値を上昇させる薬物を投与開始前のカリウム値が高値/未測定の場合や,投与中の測定間隔が長い場合,高カリウム血症の発現リスクが高くなることが示唆されている。 4.健康成人を対象とした試験において,ナプロキセン併用によりアピキサバンの血漿中濃度の上昇と薬理作用の増強を認め,P-糖タンパク質を介した相互作用の可能性が示唆されている。 5.リバーロキサバンが投与された肝移植後の患者において,タクロリムス服用患者よりもシクロスポリン服用患者でリバーロキサバンのトラフ血漿中濃度が高かったことが報告されている。 6.抗結核薬治療中の患者を対象とした前向き調査において,肝障害を認めなかった患者と比較して,肝障害を認めた患者ではリファンピシンの血漿中濃度が高かったことが報告されている。