第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
睡眠薬~オレキシン受容体拮抗薬:新しい不眠症治療薬~
藤木通弘
1
,
神林祟
2
,
清水徹男
3
1産業医科大学産業生態科学研究所健康支援部門人間工学研究室・教授
2秋田大学医学部精神科学教室准教授
3秋田大学医学部精神科学教室教授
pp.489-494
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413489
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現在わが国で用いられている主な睡眠薬は,ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬である。これらは毒性が低く,比較的安全な薬剤として広く使用されてはいるが,薬剤耐性,依存性,あるいは奇異反応などの副作用を完全に克服できたというわけではない。Suvorexantは米国メルク社によって開発されたオレキシン受容体拮抗薬で,脳内の覚醒維持系を抑える事で生理的な睡眠を誘導する作用を示すと考えられている薬剤である。治験の結果からは,入眠障害と睡眠維持障害の明らかな改善効果を長期間有し,また,薬剤耐性や休薬による反跳性不眠も認められないなど,次世代の睡眠薬として高い 可能性を持つ薬剤であると考えられている。