特集 睡眠薬のトリセツ 今すぐ使える不眠治療の処方箋
睡眠薬を選ぶ・使うに役立つ「これだけ!」DI(drug information)① メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬
別所 千枝
1
1尾道総合病院
pp.208-212
発行日 2023年2月5日
Published Date 2023/2/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023020011
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
メラトニンは脳の松果体から夜間に分泌されるホルモンである.動物において,概日リズム,睡眠,免疫,生殖機能など広汎な生体機能に影響を与え,地球の自転に基づく環境の明暗変化に対し,体内環境や行動を積極的に変化・同期させる体内時計の機能に関与する1).メラトニン受容体は,MT1,MT2,MT3の3つに分類されているが,MT3受容体はメラトニン固有の受容体ではないことが明らかとなっている.
ヒトにおいてメラトニンは夜間のみに分泌され,尿中メラトニン代謝産物が最も高い夜中の時間帯で最も眠気が強い2).しかし,ヒトの睡眠にメラトニンは必ずしも必要ではなく,脳外科手術で松果体の全摘術を行っても,睡眠・覚醒の障害が起こることはまれであるといわれている3).
Copyright © 2023 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.