第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
心不全治療薬
諸井雅男
1
1東邦大学医療センター大橋病院循環器内科・准教授
pp.463-471
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413463
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高齢者の心不全患者は確実に増加しており,その治療薬の開発は急務である。これまでレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬,β遮断薬,血管拡張薬,利尿薬,強心薬が使用されてきたが,2010年12月に薬価収載された経口水利尿薬トルバプタン(サムスカ®)は,ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全による体液貯留を適応として登場した。発売から3年経過しての実臨床での使用は広がりつつある。また,2007年12月に高血圧の適応で発売されたエプレレノン(セララ®)は,本邦では心不全治療薬として第II相試験中である。欧米では既に心不全の適応がある。ネプリライシン(NEP)阻害薬とバルサルタンの機能部位を一つの分子として合成した新規化合物であるLCZ696は,海外では心不全を対象とした第III相試験を行っているが,本邦では高血圧を対象にした第III相試験が行われている。