くすり
心不全治療薬としてのドパミン
友松 達弥
1
,
前田 和美
1
1神戸大・第1内科
pp.2140-2141
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205243
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はじめに
心不全に対する治療薬として,ジギタリスは古くより使用され,現在一般臨床医にとっては極めてポピュラーな薬剤といえよう.しかし心不全患者の中には,ジギタリスに抵抗し,種々の利尿剤の投与にもかかわらず,利尿がつかない,いわゆる難治性の心不全患者のいることも事実である.さりとて現在のところジギタリスにとってかわれるような薬剤は他にみあたらない.
しかし,心の収縮力を高める作用を有する薬剤として,以前よりカテコールアミンが知られている.そのうちノルアドレナリンの前駆物質であるドパミン(3,4-dihydroxyphenyl ethylamine)が,交感神経受容体を介してpositive inotropicおよびchronotropic効果を有し,さらに腎血管系にも作用して,腎血流量を増加させることが最近知られるようになり,にわかに注目されてきた.さらに臨床にも応用され,種々のショックおよび心不全患者に投与され,その有用性を強調する報告がなされるようになった.
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