第 I 部 新薬創出に向けた日本の戦略
2.次世代バイオ医薬品創薬
川西徹
1
1国立医薬品食品衛生研究所・所長
pp.247-252
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413247
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世界的に医薬品の売り上げが停滞する中,バイオ医薬品の売り上げは伸びており,開発も活発に行われている。バイオ医薬品の歴史は天然のヒト蛋白質に限りなく近い蛋白質を微生物や哺乳類細胞に製造させた組換えヒトインスリン等の第一世代バイオ医薬品に始まった。引き続き薬理活性は天然と同様ながら数個以下程度のアミノ酸配列の改変,糖鎖改変,あるいはペグ化により生体内安定性や体内動態等を改善した第二世代バイオ医薬品の臨床応用,さらに遺伝子工学抗体を用いた抗体医薬品ブームが現在の状況である。今後さらに製剤化技術の革新および小型抗体製剤,あるいは高度改変型蛋白質製剤が次世代バイオ医薬品として開発されることが予想される。バイオ医薬品は高額であり,あわせて多くの患者がアクセス可能なようにコスト節約型の医薬品開発も期待される。