第 I 部 新薬創出に向けた日本の戦略
1.眼科疾患における新しい治療に向けた戦略~網膜疾患を中心に~
大島裕司
1
,
池田康博
2
,
吉田茂生
1
,
石橋達朗
3
1九州大学大学院医学研究院眼科分野講師
2九州大学大学院医学研究院眼科分野
3九州大学大学院医学研究院眼科分野教授
pp.237-246
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413237
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分子生物学の発展はめざましいものであり,その臨床への応用も確実なものとなってきている。近年の薬剤治療,手術治療の発展により数々の眼科疾患の治療が可能となり,見えるよろこびを持続できるようになった。しかし,いまだ難治性疾患も多数あり治療に苦慮しているのが現状である。その中でも,角膜疾患や網膜硝子体疾患への分子生物学的アプローチを用いた挑戦が行われている。加齢黄斑変性に対してはiPS(induced pluripo tent stem)細胞を用いた網膜色素上皮細胞のシート移植がまさに始まろうとしている。網膜色素変性に対しては視細胞保護遺伝子治療の臨床研究が行われている。また糖尿病網膜症に対しては分子標的核酸医薬を用いた加療が計画されている。このように分子生物学的アプローチを用いた新しい治療は将来の夢物語ではなく,ついに現実味を帯びたものとなっている。