特集 インフルエンザの疫学的考察と今日の臨床
7.抗インフルエンザ薬の耐性とその対策
齋藤玲子
1
,
近藤大貴
2
,
日比野亮信
2
,
八神錬
2
,
菖蒲川由郷
3
1新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学教室(公衆衛生)教授
2新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学教室(公衆衛生)
3新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学教室(公衆衛生)准教授
pp.2451-2455
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014102451
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インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)阻害剤への耐性は,ウイルスのNA蛋白の1アミノ酸変異により生じる。薬剤耐性ウイルスの検出には,感受性検査と,遺伝子型検査の二通りがある。最近,世界保健機関(WHO)により耐性の定義が統一され,基準株に対する50%阻止濃度(IC50)の上昇度により耐性を判定することとなった。薬剤投与後に留まらず,近年,A型H1N1亜型の市中株でNA阻害剤の耐性株が流行し,大きな問題となっている。2007~ 2008年にA型H1N1ソ連型の耐性株(H275Y変異株)の世界的な流行が起こり,2011年にはオーストラリアで,そして2013~ 2014年シーズンには,日本においてH1N1pdm09のH275Y耐性株の流行が起こった。今後も耐性株のサーベイランスを続けるとともに,新しい機序の薬剤の開発が望まれている。