特集 インフルエンザの最新事情とその対策 ~ One Healthの 観点から~
4.抗インフルエンザ薬 耐性ウイルスの実際と 対応のあり方
池松秀之
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1日本臨床内科医会インフルエンザ研究班・リサーチディレクター/久留米臨床薬理クリニック・顧問
pp.2379-2384
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201510129
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現在日本では,4種のノイラミニダーゼ(NA)阻害薬が使用されており,耐性化について多くの関心が集まっている。NA阻害薬に対する耐性ウイルスは複数同定されているが,実際に流行したことが確認されているのはA(H1N1)ウイルスで,そのNAにH275Y変異を持つもののみである。2008~2009年流行期に,日本で流行したH275Y変異を持つA(H1N1)(ソ連型)では,その臨床効果の低下が確認されている。A(H3N2)とBでは,耐性ウイルスの流行は確認されていない。NA阻害薬に対する耐性ウイルスの流行は,A(H1N1)ウイルス以外では起こりにくいようであるが,サーベイランスは重要である。耐性化により薬剤の効果の低下が考えられる場合には,その影響が大きいと考えられる年少者や高齢者を含むハイリスク者では感受性の高い薬剤を選択することが望まれる。