特集 臨床研究の倫理的課題 ~最近の動向,論点,展望~
1.世界医師会ヘルシンキ宣言と2013年のフォルタレザ改訂
井上悠輔
1
1東京大学医科学研究所公共政策研究分野
pp.1945-1952
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014081945
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本稿は,医学研究における倫理的な配慮についての国際標準を提案する世界医師会「ヘルシンキ宣言」,特に直近の2013年の改訂(採択されたブラジルの地名より,以下「フォルタレザ改訂」とする)を概説する。医学研究には,研究がもたらす医学の進歩と,研究の対象となる個人(被験者)の負担や害とのバランスをめぐる倫理問題が伴う。これに加えて近年では,被験者と一定の利害を共有する集団への配慮,研究成果へのアクセス,研究者が有する役割や利益の相反など,関連する利害をめぐる議論は一層複雑なものとなっている。ヘルシンキ宣言には,こうした論点をめぐる国際的な議論の蓄積が反映されている。