特集 Drug delivery system(DDS)の最新展望
8.バブルリポソームによる超音波セラノスティクスの開発
丸山一雄
1
1帝京大学薬学部医療薬学講座薬物送達学研究室・教授
pp.1783-1790
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201407095
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セラノスティクス(Theranostics)とは,therapeutics(治療)とdiagnostics(診断)の両機能を有するシステムである。超音波造影ガスを封入したバブルリポソームは,超音波造影による診断のみならず,キャビテーションによる治療を可能とするセラノスティクス製剤として期待される。バブルリポソームに超音波を照射すると,超音波の周波数や強度に応じてバブルリポソームが振動したり圧壊したりと,さまざまな振る舞いをする。超音波造影装置での超音波照射ではバブルリポソームは振動し,イメージング輝度を増強させる。また,超音波照射強度の高い治療用超音波照射では,バブルリポソームの圧壊(キャビテーション)が誘導される。この時にジェット流が生じ,このエネルギーを駆動力として細胞や組織の傷害や細胞内への薬物・遺伝子デリバリーを行うことができる。バブルリポソームは,超音波を用いた診断と治療,つまりセラノスティクスに有望なツールである。