特集 特集2 バイオシミラー・フィルグラスチム
5.バイオシミラー・フィルグラスチム(FSK0808)の臨床試験
島田浩子
1
,
重川崇
1
,
佐伯俊昭
2
1埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科
2埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科教授
pp.1409-1416
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201405125
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多くの抗がん薬が骨髄毒性を示すことから,好中球減少は全ての患者に認められる有害事象である。乳がん術後化学療法でも相対的用量強度(relative dose intensity:RDI)85%以上の投与が生存期間の改善をもたらすと報告され,米国では予防的なG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を使用することにより,骨髄毒性の強いレジメンにおいても高いRDIが得られている。発熱性好中球減少症から感染症を併発する際には,好中球減少の期間(duration of neutropenia:DN)が長いほど感染率が増加すると考えられており,FSK0808は先行品と同等と考えられる2.2日と,短縮可能であった。主評価項目において,仮説を証明できたことは,FSK0808の効果と安全性を示したものと理解できる。また,FEC100レジメンの完遂率も良好であり,患者の生存へのベネフィツトをもたらす可能性が高いと思われた。