医薬ジャーナル論壇
薬剤師の新たな社会貢献“スポーツファーマシスト” ―運動選手から一般市民まで幅広く支援―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.907-909
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201403027
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公認スポーツファーマシストという認定資格が,今,大きな注目を集めている。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が,2009年から,日本薬剤師会と共同で認定している資格である。その主たる活動目的は,薬の正しい使用法の指導や健康教育などを通じて,スポーツにおけるドーピング(禁止薬物の投与)を防止することにある。認定されたスポーツファーマシストは,2012年度までに約5,300人を数え,既に国民体育大会(国体)などのスポーツ大会で活躍している。スポーツ団体が,薬剤師会と連携して制度運営を行う試みは,世界初であり,本制度には国際的な関心も寄せられている。また,スポーツファーマシストが指導対象とするのは,トップレベルの運動選手ばかりではない。高齢者を含むスポーツ愛好家が,日常的に運動に親しむ中で,常用している医薬品での不都合が起こらないよう啓発する役割も担っている。2020年の夏季オリンピックが,東京で開催されることも決まり,スポーツファーマシストへの社会的な期待は,ますます大きくなっている。