医薬ジャーナル論壇
危険ドラッグ根絶への薬剤師の貢献 ―乱用防止と社会復帰の両側面から―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.23-25
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201501023
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危険ドラッグ――最近,よく耳にする言葉である。記憶に新しいのは,2014年6月に東京・池袋で起きた自動車の暴走事故であろう。繁華街に車が突っ込み,歩行者8人を死傷させたこの事故では,運転していた男が危険ドラッグを使用していたことが大きく報じられた。その他にも,全国各地で危険ドラッグによる事件,事故が相次ぎ,警察の摘発事例も後を絶たない。危険ドラッグとは,大麻や麻薬,覚醒剤などと同じ成分が含まれているにも関わらず,化学構造を少し変えているために法規制をすり抜けている違法薬物を指す。かつては「合法ドラッグ」,「脱法ドラッグ」などとも呼ばれていたが,その危険性をより分かりやすくするために,2014年7月に危険ドラッグという名称が制定された。危険ドラッグは,その購入の容易さから,覚醒剤や麻薬の常用者よりも年齢層の低い,青少年での蔓延が問題となっている。薬剤師は,薬物乱用を食い止める医療職として,危険ドラッグの根絶に積極的に取り組む必要がある。