連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く 〈24〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座
2東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座教授
キーワード:
●散瞳,高カリウム血症,P-糖タンパク質阻害,CYP3A4阻害,誤嚥
Keyword:
●散瞳,高カリウム血症,P-糖タンパク質阻害,CYP3A4阻害,誤嚥
pp.1038-1043
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201403158
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医薬品適正使用を実践するには,最新の医薬品情報が必須である。これまで知られていない副作用や薬物相互作用に関する情報は,症例報告や臨床研究報告を読み解く必要がある。本連載では,医薬品添付文書に記載されていない副作用や薬物相互作用を中心に,最新の英語論文の概要を紹介する。
〔今月の注目論文のポイント〕
1.レボドパ/カルビドパを投与されたパーキンソン病患者において,眩しくて運転ができないほどの散瞳を呈した症例が報告されている。
2.心房細動のためダビガトランを投与された腎移植歴のある患者(クレアチニンクリアランス≧30mL/分)において,投与2日後から血清カリウム値が上昇した症例が報告されている。
3.健康成人を対象とした試験において,イトラコナゾールの併用によりナドロールの血漿中濃度が顕著に上昇したことが報告され,イトラコナゾールによるP-糖タンパク質の阻害による相互作用の可能性が示唆されている。
4.ホジキンリンパ腫を併発したHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染患者において,プロテアーゼ阻害薬/リトナビルの併用によりビンブラスチンの血漿中濃度が上昇したことが報告された。プロテアーゼ阻害薬/リトナビルの併用でCYP(チトクロムP450)3A4の阻害による相互作用の可能性が示唆されている。
5.ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の患者において,クラリスロマイシンとラベプラゾールを初回投与後に,異常言動や見当識障害などの解離性障害を呈した症例が報告されている。
6.骨粗鬆症のためアレンドロン酸を投与された非高齢患者において,錠剤を誤嚥し気管気管支炎を呈した症例が報告されている。