医薬ジャーナル論壇
超高齢社会における薬剤師の新たな責務 ―骨粗鬆症リエゾンサービスに薬物治療で貢献―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.23-25
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201401023
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
骨粗鬆症は,「沈黙の疾患」とも呼ばれる。自覚症状に乏しいために,骨折という臨床症状を呈して,初めて骨粗鬆症であると判明することが多いからである。一方,「骨が折れたぐらいで助かった」という言葉を,時として耳にするが,「脳卒中ぐらいで助かった」,「心筋梗塞ぐらいで助かった」とは誰も言わない。それは,骨折が生命そのものには直接関わらないと認識されているからに他ならない。だが,骨粗鬆症による骨折は,老衰を除けば,脳血管疾患,認知症に次いで,寝たきりといった要介護に至る原因の第3位に位置している。また,最近の研究では,骨粗鬆症自体が生命予後を悪化させることも分かっている。少子高齢化が急速に進むわが国で,国民の健康寿命を延ばすためには,骨粗鬆症を重篤な疾患と位置づけ,積極的な治療介入を行う必要がある。その有効なツールとして,今,骨粗鬆症リエゾンサービスという医療連携の取り組みが注目されている。多職種による緊密なチームワークによって,骨粗鬆症の予防や治療を効果的に行おうとするこのシステムに,薬剤師もまた前向きに参画することが期待される。