特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
3.トルバプタンの新たな可能性~「再入院抑止効果」の検討~
味岡正純
1
1公立陶生病院循環器科・副院長
pp.761-768
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402761
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高齢社会での心不全治療は,再入院の抑止を念頭に入れた薬剤選択が重要である。我々はトルバプタンでの心不全治療を行った入院患者に,退院後も継続服用を行ってきたが,その中に再入院回数が減少する患者が認められることに気づき,検討を行ってきた。その結果,腎機能が良く保たれた(eGFR〔推算糸球体濾過量〕≧ 30)患者や収縮機能が低下していない(EF〔左室駆出率〕≧ 50%)患者に,再入院の減少が認められた。また,直前の1年間に入院歴のある再入院患者では,そうでない患者に比べて有意に再入院が抑えられていた。トルバプタンによって抑制されるのが,感染や服薬のコンプライアンス低下などの誘因が認められない,自然増悪的な心不全入院であることも判明した。入院回数の減少は,入院費用の低下の大きな要素になっているが,どのような患者へ継続服用するのが最も効率的な再入院の減少につながるのか,さらなる検討が必要である。