特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
2.血行動態の観点から:特に長期継続が必要な患者の特性
猪又孝元
1
1北里大学医学部循環器内科学・講師
pp.754-760
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402754
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
トルバプタンの長期継続が必要とされる臨床シナリオのうち,トルバプタン追加によりはじめて退院が実現可能となる末期心不全を紹介する。このような継続投与群は,末梢循環不全を基盤に有し,従来利尿薬のみではうっ血解除過程で低心拍出が露見する。しかし,トルバプタンは,低ナトリウム血症の是正を通じ,浸透圧勾配により血管外から血管内へと体液を移動させ,その移動してきた血管外の体液分のみを尿として処理することで,低心拍出量をきたさない血管内ボリュームを維持する。「水分布改善薬」としての効果は,過度な血圧低下をきたしにくく,一方,低血圧例でも一定の利尿効果が期待できる。