特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~入院早期の体液管理における役割~
3.入院初日のトルバプタン投与と高齢心不全患者・独歩入院患者におけるトルバプタンの意義
川端正明
1
1兵庫医科大学 ささやま医療センター 地域総合医療学講座・教授
pp.114-121
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201401114
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入院初日からのトルバプタン投与により利尿効果が現われ,短期間で治療が完結する――このような心不全患者は少なくない。心不全では有効循環血漿量の低下に反応し,レニン‐アンジオテンシン系が賦活化し,腎尿細管でのナトリウム再吸収を促進させる。また,アルギニンバソプレシン(AVP)分泌が亢進し,腎集合管での水再吸収を促進させる。この2系統の内分泌的異常状態こそが心臓性浮腫の原因であり,急性期心不全治療の標的となる。本稿では,トルバプタン単独追加投与の利尿効果について我々の臨床研究を概説するとともに,水利尿不全の機序に焦点を当て,入院初日からのトルバプタン投与の意義について述べる。(統計量の表記はすべて平均±標準偏差である)。