特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
4.入退院を繰り返す症例への取り組み:再入院回避
辻山修司
1
1JA広島総合病院心臓血管内治療科・主任部長/循環器内科・部長
pp.769-774
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402769
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
JA広島総合病院において,トルバプタンを3カ月以上投与した患者の腎機能,電解質,ループ利尿薬の投与量,入院回数を検討した。腎機能では尿素窒素,クレアチニンはともに投与前に比して軽度上昇を認めたが,臨床的に問題となるレベルではなかった。電解質では,血清ナトリウムは長期投与により投与初期よりむしろ低下を認め,心配される高ナトリウム血症の出現は認めなかった。血清カリウムは投与前に比べて1カ月後で軽度上昇を認めたが,その他は特に変化を認めなかった。ループ利尿薬の投与量は,投与前に比して投与後に有意な減量が可能であった。入院回数は投与前に比べて減少し,特に投与前の入院回数が少ない患者で減少効果が強く認められた。