特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
1.総論(Over View)~急性効果から長期予後まで~
絹川弘一郎
1
1東京大学大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座・特任教授
pp.745-753
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402745
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トルバプタンは,バソプレシン(AVP)受容体拮抗薬としてはじめて心不全治療に応用された新しい機序の利尿薬である。従来からの利尿薬であるループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬は,心不全治療に使用された歴史が長く,功罪ともに指摘されるものの,不可欠な薬剤である。しかし,既存の利尿薬に抵抗性の心不全患者も多く,新しい機序のトルバプタンに対する期待も大きい。本特集の各論では,わが国を代表する心不全分野の論客にさまざまなテーマで論じていただいた。筆者は総論担当であるので,まずバソプレシンの知識の整理から始めて,各論で論じられていないレスポンダー・ノンレスポンダーの問題,今後の臨床試験のあり方について考察したい。