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特集 実践!感染症の治療と制御
7.発熱性好中球減少症治療の実際
87(1701)~p91(1705)
堤直之
1
,
倉井華子
2
,
大曲貴夫
3
1静岡県立静岡がんセンター 感染症内科
2静岡県立静岡がんセンター 感染症内科 部長
3国立国際医療研究センター 国際感染症センター・センター長
pp.1701-1705
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201307087
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化学療法中の好中球減少時に発熱している状態を,発熱性好中球減少症(febrile neutropenia:FN)と言う。FNは重症感染症になり得る内科救急疾患であり,適切な治療を早期に開始する必要がある。
原因菌は,その死亡率の高さからグラム陰性桿菌,特に緑膿菌を念頭に置き,エンピリック治療としては緑膿菌に対して最適な治療を選ぶ。抗菌薬の選択は,各施設のアンチバイオグラムを考慮に入れる。FNでは臓器所見が乏しいこともあり,感染臓器・系統を絞ることが難しい場合も多いが,診察を日々繰り返すことが重要である。臓器を特定できれば,より的確な治療法の再検討が可能となる。感染臓器や原因菌が確認された場合は,それに応じて治療期間を決定する。適切な抗菌薬投与を,少なくとも好中球減少が持続している間は継続する。抗菌薬投与開始後も発熱が5日以上続く場合は,真菌症の検索および治療を考慮する。