特集 腎疾患領域のゲノム医療と新規治療ターゲット
8.ミトコンドリアをターゲットとした腎臓病治療
鈴木 健弘
1
,
阿部 高明
1
1東北大学病院腎高血圧内分泌科,東北大学大学院医工学研究科分子病態医工学分野
キーワード:
ミトコンドリア病
,
ミトフィリン
,
ATP合成酵素
,
ATP
,
活性酸素
Keyword:
ミトコンドリア病
,
ミトフィリン
,
ATP合成酵素
,
ATP
,
活性酸素
pp.67-74
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000100
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ミトコンドリア機能異常によるATP の減少,酸化ストレスの増加とアポトーシスなどによる細胞障害によって引き起こされるミトコンドリア病は確立した治療法のない難治性疾患である.腎臓は尿細管の再吸収や糸球体濾過のバリア機能維持のためのエネルギーをミトコンドリアによるATP 合成に依存しているため,ミトコンドリア病では尿細管障害やネフローゼ,糸球体硬化症などさまざまな腎疾患が合併する.一方,治療抵抗性ネフローゼ症候群に多数のミトコンドリア機能関連遺伝子の異常が報告され,急性腎障害や糖尿病性腎症,シスプラチンや造影剤による薬剤性腎障害でもミトコンドリア機能異常がその病態機序で主要な役割を果たす.このため本総説は最近のミトコンドリアを標的とした新た腎臓病治療戦略について概説する.さらに最近われわれが開発した新規のミトコンドリア病治療薬MA-5 について解説する.
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