特集 宇宙医学研究の最先端
1.免疫(1)重力依存的な胸腺組織微小環境の機能制御
秋山 泰身
1
,
良永 理子
1
,
秋山 伸子
1
1東京大学医科学研究所分子発癌分野
キーワード:
重力変化
,
免疫
,
胸腺
,
自己免疫
Keyword:
重力変化
,
免疫
,
胸腺
,
自己免疫
pp.169-175
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000053
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重力変動や放射線など宇宙環境ストレスが免疫システムに及ぼす影響を調べることは,宇宙滞在中の健康管理のために重要な情報となる.そのため宇宙飛行士からの血液などの解析のみならず,マウスなど小動物を使った宇宙実験や地上実験が行われてきた.胸腺はT 細胞供給に重要な臓器であり,さまざまなストレスで影響を受ける.マウスへの過重力が胸腺に及ぼす影響を調べたところ,内耳前庭器官を介した重力感知により,胸腺で分化途中のT 細胞が一時的に減少すること,T 細胞の分化や選択に必要な胸腺上皮細胞が比較的長期にわたり減少すること,が明らかとなった.さらに宇宙ステーションに滞在したマウスの解析が現在進行中であり,重力変動が免疫システムに与える影響について,細胞あるいは分子レベルで今後さらに明らかになると予想される.
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