消化管ポリポーシス-診断と治療の進歩
クロンカイト・カナダ症候群の特徴
渡辺 知佳子
1
,
三浦 総一郎
,
穂苅 量太
1防衛医科大学校 内科学講座
キーワード:
Prednisolone
,
胃腫瘍
,
大腸腫瘍
,
胃腸内視鏡法
,
Cronkhite-Canada症候群
,
発癌
Keyword:
Prednisolone
,
Stomach Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
,
Endoscopy, Gastrointestinal
,
Carcinogenesis
pp.269-275
発行日 2016年5月20日
Published Date 2016/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2016299281
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クロンカイト・カナダ症候群(Cronkhite-Canada syndrome;CCS)は,胃・大腸に過誤腫性のポリポーシスが分布し,高率に蛋白漏出性胃腸症を合併する,おもに高齢者の疾患で,消化管外症状として,爪の萎縮・脱毛・色素沈着など,特徴的な皮膚症状を伴う.CCSポリープは嚢胞状拡張腺管を特徴とする過誤腫性ポリープで,ポリープ介在粘膜にも組織学的変化があることが,他の過誤腫性ポリポーシス疾患との鑑別ポイントとなる.治療はステロイド治療が主流である.十分量を投与することで概ね良好な反応が得られるが,一部に難治例がある.臨床症状や内視鏡所見は可逆的だが,不十分な治療により再燃・再発が多く,ポリープの内視鏡所見の改善を投薬の中止・減量の指標とする.内視鏡的改善には半年以上,時によっては数年の時間を要する.したがって,ステロイド治療は長期間にわたるため,とくに高齢患者においては,薬物副作用や栄養管理に十分な注意が求められる.消化管癌の発生は一般人口よりも高率であり,治療後の再発・癌の合併を念頭に,症状が軽快した後も定期的に,内視鏡でフォローアップすることが大切である.
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