発行日 2013年7月20日
Published Date 2013/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2013319996
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15歳女。初診の半年前から、頻回の下痢に続き下血も出現したため精査目的に紹介となった。下部消化管内視鏡検査では、直腸から連続して粘膜は粗そう、浮腫状であった。血管透見像は消失し、膜様粘液の付着や粘膜の易出血性がみられた。生検組織所見は高度の炎症細胞浸潤と陰窩膿瘍を認め、潰瘍性大腸炎(UC)に矛盾しない所見であった。全大腸炎型のUCと診断、臨床重度分類も中等症で、CAIは9点と活動性を有していた。赤沈1時間値36mmと軽度の炎症反応上昇を認めたが、他に異常はなく、便培養も有意菌は同定されなかった。絶食、輸液投与を開始し、第1病日よりpH依存型メサラジン放出製剤(pH依存型5-ASA放出製剤)の内服を行った。開始後、速やかに排便回数は減少し、腹痛、血便は消失し、CAIは2点まで低下し、経口摂取可能となり、第9病日に退院した。退院後4週日の下部内視鏡でも粘膜所見の改善寛解を認めた。色素拡大観察所見では、活動期に破壊された腺窩の修復・再生を認め、5-ASA投与による粘膜治癒は達成されたと判断された。以後、内服を継続し現在まで寛解を維持している。
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