特集 大腸癌のスクリーニングとサーベイランスの標準化に向けて─ 新しい知見から
Ⅰ.スクリーニング(2)便潜血検査による大腸癌スクリーニングの有効性のエビデンス
斎藤 博
1
1青森県立中央病院
キーワード:
大腸がん検診
,
化学法便潜血検査
,
免疫法便潜血検査(FIT)
,
死亡率減少効果
Keyword:
大腸がん検診
,
化学法便潜血検査
,
免疫法便潜血検査(FIT)
,
死亡率減少効果
pp.14-20
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000543
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
便潜血検査による大腸がん検診は化学法便潜血検査(化学法)に関する4件のランダム化比較試験(RCT)で逐年および隔年(2年間隔)の検診についていずれも有効性が示された.その効果は死亡率減少のメタアナリシスでは16%と評価された.大腸がん検診プログラムにおける検診法としてのreversed passive hemagglutination (RPHA)法による免疫法便潜血検査(FIT)と検診プログラムは日本で開発・評価された.その有効性は,1日法を用いた検診プログラムに関する4件の症例対照研究により,受診歴がない個人に比べ,ある個人では一致して大腸癌死亡リスクが低下することが報告された.また進行癌罹患リスク抑制効果も1研究で報告された.RCTで算出されるのは非受診者も含めた死亡率減少効果なので化学法とFITの死亡率抑制効果の大きさが直接比較できる研究はないが,FITで効果が大きいことが示唆されている.FITは化学法より感度が高いことが前向き試験などで示されており,また大腸癌,advanced adenomaに対する発見率,要精検率(≒特異度)を比較したRCTが報告され,FITで要精検率がやや高いものの,発見率は2倍以上と高く,以上からFITの効果が大きいと考えられている.
Copyright © 2021, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.