TOPICS ─文献紹介〈炎症関連*〉
急性下部消化管出血における緊急大腸内視鏡検査の有用性と安全性〔Review from ─ Gastroenterology 2020;158:168-175. e6〕
新倉 量太
1
1東京大学医学部附属病院消化器内科
キーワード:
急性下部消化管出血
,
緊急大腸内視鏡検査
,
SRH
Keyword:
急性下部消化管出血
,
緊急大腸内視鏡検査
,
SRH
pp.367-370
発行日 2020年11月20日
Published Date 2020/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000525
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血便,下部消化管出血は,重篤なcommon diseasesの一つで,輸血や止血処置が必要な重篤な状態を引き起こす.大腸内視鏡検査は出血源の診断,治療に有用であり,第一選択として用いられる検査法である.これまでの観察研究から,血便の出現後,早期に大腸内視鏡検査を行うことは出血源の同定,止血治療に有用であり,再出血や輸血率の減少などの臨床転帰を改善する可能性があることが報告されている.このため,本邦,欧米の診療ガイドラインにおいて,血便の出現後早期,24時間以内に大腸内視鏡検査を行うことが推奨されている.一方,これまでに行われた三つの単施設ランダム化比較試験(RCT)において,24時間以内に行う,緊急大腸内視鏡検査は,24時間後に行う待機的大腸内視鏡検査と比べて,出血源同定率の向上や再出血率の低下などの臨床転帰を改善しないことが報告されている.しかし,これらのRCTのうち二つの試験は予定症例数に到達せずに試験が中止になっている.このため,緊急大腸内視鏡検査の有効性を検証した質の高いエビデンスは存在しなかった.2016年から本邦で行われた多施設RCT:緊急下部内視鏡試験の結果が昨今報告されており,緊急大腸内視鏡検査の意義がトピックとなっている.本稿では,一般の先生方に,緊急大腸内視鏡検査の有効性と安全性について,緊急下部内視鏡試験の結果を解説していく.
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