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書評「消化管出血と緊急内視鏡検査」
相馬 智
1
1杏林大学
pp.1480
発行日 1977年11月25日
Published Date 1977/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112463
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Urgent endoscopyという概念は,最近では単なる新しい言葉としてではなく,多くの施設で実際にroutine workとして行われるようになりつつある.一時代前までは消化管からの大量出血時には,その疾患の診断はおろか,その出血部位が食道なのか,胃か十二指腸からなのか,部位の決定さえおぼつかなく,私達外科医はshockの治療に追われるだけで,何を目標に手術の計画をたてるべきか,手をこまねくことも稀ではなかったのである.
しかし最近では,この本の編者である竹本教授や鈴木助教授を中心とする進歩的な研究者の勇気と辛苦により,緊急内視鏡検査も確立されてきた.大量出血時でも内視鏡検査が行なわれ,診断が確定されて外科に送られたり,あるいは一時的にせよ内視鏡的止血により状態が改善されてelectiveに外科的処置が行なえるようになった.一時代前からみると雲泥の差である.
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