特集 腸管感染症
Ⅱ.各論
(3)腸管結核菌感染症の最前線
小林 広幸
1
,
蔵原 晃一
2
1福岡山王病院消化器内科
2松山赤十字病院胃腸センター
キーワード:
結核
,
感染症
,
腸管
,
診断
,
生物学的製剤
Keyword:
結核
,
感染症
,
腸管
,
診断
,
生物学的製剤
pp.153-160
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000319
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わが国の結核感染は激減したとはいえ,未だ罹患率は多くの先進国に比べれば高く,今日でも毎年新たに200 人を超える腸結核患者が発生している.腸結核は肺結核に続発するものと,肺病変とは無関係な原発性腸結核に分類されているが,近年は続発性の腸結核が増えている.腸結核はリンパ装置が豊富な回盲部に好発し,多彩な潰瘍性病変や腸管変形を呈するが,画像上もっとも特徴的なのは輪状潰瘍と多発する潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯(萎縮瘢痕帯)を形成することである.診断には生検組織の遺伝子検査(PCR 法)や培養(MGIT 法),IGRA などが有用であるが,確定診断が困難なことが多く,抗結核療法にて症状や所見が改善すれば腸結核と診断されている.なお,近年ではクローン病や関節リウマチに対する抗TNF-α抗体などの生物学的製剤による結核の再活性化も問題となっている.
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