特集 IBD 関連大腸腫瘍の診断・治療update
Ⅰ.潰瘍性大腸炎関連大腸腫瘍の病理診断update
田邉 寛
1
,
岩下 明德
1
1福岡大学筑紫病院病理部
キーワード:
潰瘍性大腸炎関連大腸癌
,
散発性癌
,
dysplasia
,
粘液形質
Keyword:
潰瘍性大腸炎関連大腸癌
,
散発性癌
,
dysplasia
,
粘液形質
pp.9-17
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000142
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近年,本邦における潰瘍性大腸炎(UC)罹患者数の増加に伴いUC 関連大腸癌患者数も増加傾向である.典型的なUC 関連大腸癌は比較的若年者で多発例が多い.そして背景にdysplasia を伴い,胃腸混合型の粘液形質を有する非常に分化の良い超高分化腺癌がおもに浸潤性に発育し,特異な肉眼型を呈することが多い.また,酸化ストレスの指標である8-OHdG が陽性となることがある.一方,UC にも一般的に発生する散発性癌(sporadic colorectal cancer)を合併することもある.それらの発症年齢は一般的な大腸癌と同様で60 歳以上に多く,確かに病変周囲にUC の高度炎症がみられるが,単発で腸型の粘液形質を有する分化型癌がおもに膨張性に発育し,肉眼型は2 型を呈することが多い.また8-OHdG は通常陰性である.生物学的態度や予後が異なる両者を鑑別することは重要と考えられる.
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