今月の主題 高齢化
技術解説
高齢者のストレス応答
東 監
1
Ken HIGASHI
1
1産業医科大学
キーワード:
熱ショック蛋白質
,
HSP
,
加齢
,
ストレス応答
Keyword:
熱ショック蛋白質
,
HSP
,
加齢
,
ストレス応答
pp.371-376
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904730
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加齢に伴う老化現象の1つとして外部環境の変化に適応する能力が低下することが挙げられる.ヒト,ラット,およびヒト正常培養細胞などで,熱ショックに対してHeat shock protein(HSP)とそのmRNAの発現,あるいはHSP遺伝子の転写因子(HSF)の活性化などが加齢とともに徐々に低下することが示された.加齢につれてHSFが減少するのではなく,その活性化の段階が年齢とともに低下する.加齢とともに細胞内のレドックス状態が変化すること,あるいは異常蛋白質の増加などがHSFの活性化低下に関連した因子である可能性が示摘されている.高齢者におけるストレス応答とアポトーシス,および老年期に起こる神経退行変性疾患の発症におけるHSPの功罪についても言及した.
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