TOPICS ─文献紹介〈炎症関連*〉
腸間膜静脈硬化症の病因としての漢方薬の関与について:大規模全国調査の結果〔Review from─ J Gastroenterol 2017;52:308-314〕
清水 誠治
1
,
小林 拓
2
,
富岡 秀夫
1
,
大津 健聖
3
,
松井 敏幸
3
,
日比 紀文
2
1大阪鉄道病院消化器内科
2北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター
3福岡大学筑紫病院消化器内科
キーワード:
腸間膜静脈硬化症
,
漢方薬
,
サンシシ(山梔子)
Keyword:
腸間膜静脈硬化症
,
漢方薬
,
サンシシ(山梔子)
pp.204-207
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000177
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腸間膜静脈硬化症は,大腸壁内から腸間膜にかけての静脈の石灰化,静脈還流障害による腸管の慢性虚血性変化をきたすまれな疾患で,右側結腸を中心にみられる.本症は慢性経過を辿り腹痛,便通異常,イレウスなどの症状を契機に診断されるが,無症状のことも少なくない.内視鏡では暗紫色から青銅色の特徴的な粘膜色調変化がみられる.1991 年の小山らによる症例報告が本例最初とされる1).2000 年にYao らは静脈硬化性大腸炎として報告したが2),2003 年にIwashita らは炎症細胞浸潤がほとんどなく,変性を主体とした病変であることから特発性腸間膜静脈硬化症の名称を提唱した3).近年,原因として漢方薬が注目されるようになったが4),これまで本症は散発的な症例報告や文献検索がみられるのみであった5).厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業「腸管希少難病群の疫学,病態,診断,治療の相同性と相違性から見た包括的研究(代表者:日比紀文)」班で腸間膜静脈硬化症が研究対象に取りあげられ,本邦における現状を明らかにする目的で2013年11月に全国調査が実施された.
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