特集 小腸の炎症性病変を見直す
Ⅱ.各論 (10)Whipple 病の特徴
長末 智寛
1
,
蔵原 晃一
1
,
川崎 啓祐
2
,
八板 弘樹
1
,
大城 由美
3
,
江﨑 幹宏
4
1松山赤十字病院胃腸センター、九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
2岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野
3同病理診断科
4九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
キーワード:
Whipple病
,
白色絨毛
,
泡沫状マクロファージ
,
PCR法
,
電子顕微鏡
Keyword:
Whipple病
,
白色絨毛
,
泡沫状マクロファージ
,
PCR法
,
電子顕微鏡
pp.554-558
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000121
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Whipple 病は,Tropheryma whipple(i T. whipplei)の感染により,下痢や腹痛などの消化器症状を始めとして,心臓や中枢神経系,関節など多臓器に多彩な症状を伴う全身性感染症である.多くは白人男性にみられ,本邦ではきわめてまれな疾患であり,報告例は過去10 例に留まる.消化管病変は十二指腸から空腸が好発部位で,びまん性の白色絨毛を呈し,その生検組織からはPAS 染色陽性の泡沫状マクロファージの集簇がみられることが特徴である.確定診断にはPCR 法や電子顕微鏡によるT. whipplei の証明が必要である.治療はCTRX の静脈投与を行った後に,ST 合剤の継続内服が行われることが多いが,ST 合剤抵抗例への治療戦略についても近年報告されている.
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