特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
3.社会実装・リスク評価(2)腸内細菌遺伝子マーカーによる消化器疾患のリスク評価とその臨床応用
藤井 匡
1,2,3
,
栃尾 巧
1,2,3
,
大野 栄三郎
1
,
廣岡 芳樹
1,2,3
1藤田医科大学医学部消化器内科
2藤田医科大学医学部医科プレ・プロバイオティクス共同研究講座
3株式会社バイオシスラボ
キーワード:
腸内細菌遺伝子マーカー
,
大腸癌
,
肝細胞癌
,
潰瘍性大腸炎
Keyword:
腸内細菌遺伝子マーカー
,
大腸癌
,
肝細胞癌
,
潰瘍性大腸炎
pp.1370-1375
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003652
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われわれは,「腸内細菌遺伝子マーカー」という概念に基づき,特定の機能遺伝子をPCRで定量し,疾患リスクを評価する手法を開発した.とくに,胆汁酸代謝に関わる5α-リダクターゼ遺伝子(5ar)およびムチン分解酵素遺伝子(nan)を腸内細菌遺伝子マーカーとして解析し,それぞれの疾患との関連を検討した.その結果,5arレベルの低下は大腸癌および肝細胞癌と,nanレベルの上昇は潰瘍性大腸炎と有意に関連していることが示された.今後,これらの腸内細菌遺伝子マーカーを活用することで,迅速かつ低コストで非侵襲的なリスク評価が可能となり,消化器疾患の早期発見,予防,さらには治療後の予後モニタリングにも貢献することが期待される.

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