特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
4.社会実装・新規治療(1)菌由来分子の臨床応用
小西 弘晃
1
,
藤谷 幹浩
1,2
1旭川医科大学消化器先端医学講座
2旭川医科大学内科学講座消化器内科学分野
キーワード:
菌由来分子
,
創薬
,
炎症性腸疾患
,
癌
Keyword:
菌由来分子
,
創薬
,
炎症性腸疾患
,
癌
pp.1376-1382
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003653
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菌由来分子は,抗菌・免疫調節・抗腫瘍作用など多様な生理活性をもち,医薬品開発において重要な資源である.とくにプロバイオティクス由来分子は,高い効果と安全性が期待され,疾患治療薬としての応用が注目されている.われわれは,長鎖ポリリン酸が潰瘍性大腸炎の治療に寄与し,ferrichromeやheptelidic acidが抗腫瘍作用を示すことを実証した.また,菌の代謝産物が神経炎症を調節する可能性も示唆されている.本稿では,炎症性腸疾患,癌,神経炎症における菌由来分子の治療効果を概説する.今後,異分野の融合や人工知能などの先端技術を活用した新規分子探索,安定化・生産技術の開発が進むことで,菌由来分子を用いた疾患治療薬の実用化が加速することが期待される.

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